アジ
NO.101
日本を代表する大衆魚
塩焼き、タタキ、フライ、てんぷら、から揚げ、干物・・・どれ一つとっても違った味わいがあり、しかも飽きない魚がアジです。一年中出回っており、価格もそれほど高くない日本を代表する大衆魚です。寿司職人によると、養殖もののアジは、天然物に比べて体も尾びれも丸みを帯びて背側が黒く腹側は白いということでした。
アジは大衆魚ですが、「関アジ」となるとブランド物になり、真鯛やヒラメと肩を並べる高級魚シマアジもあるので、アジといっても別格のアジもあります。寿司職人に教えてもらった簡単なタタキの作り方です。三枚におろして酢にさっと通します。すると皮をはぐのが簡単でしかも味がよくなるそうです。薬味はミョウガのみじん切りとすりおろしのショウガ。つまりアジとミョウガとショウガは「三点セットの是非のもの」ということでした。友人から聞いた変わったタタキの作り方。たたいたアジにひきわり納豆を混ぜてネギとからしを入れるとまた違ったたたきになるということです。
うまみ成分がたっぷりある
アジの味は癖がなくて文字通り味がいいのが特長です。うまみ成分はイノシン酸が豊富だし、アラニン、グリシン、グルタミン酸などのアミノ酸も豊富です。適度な脂肪分もうまみ成分とうまくかみ合っておいしさを引き立てています。
栄養面でもアジは一味違います。老化防止になるDHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富であり、血中コレステロールを下げ、しかも肝臓の動きを良くしてくれるタウリンも豊富に含まれています。タウリンはサバやサンマよりも多く含まれています。また、血液をさらさらにするEPA(エイコサペンタエン酸)も含まれています。
世界中で140を超える種
アジはブリの仲間であり、世界中に25属、140種を超える種類が生息しています。体の側線にとげを持つのが特徴で、これを「ぜんご」とか「ぜいご」と呼んでいます。
アジは世界中で好まれる珍しい魚です。諸外国でもフライ、マリネなどの料理が好まれており、レモン汁を絞って食べるのも共通になっています。
アジの仲間にはいろいろいます。日本近海で一般的なのがマアジであり、ほかにメアジ、ムロアジ、シマアジなどが知られています。ロウニンアジという南洋に生息するアジの仲間は、体長1.5メートル、体重5キロを超えるというからアジの王様です。
シマアジは、瀬戸内海などで養殖されていますが、水産庁はシマアジに条件反射を植えつけて、養殖する方法を研究したことがあります。海中で一定の音波を発した後にエサを与えるという方法を繰り返すと、音波を発するだけでシマアジは餌場に集まってくるようになります。この性質を利用して、囲み網のない海中で養殖しようという試みでした。
シマアジを一定の海域に引き付けておくために、ときどき音波を発して集めるということでした。シマアジは夏が旬の高級魚であり、刺身と寿司ネタに最高です。また岩礁に生息するため、磯釣り魚として釣り人には人気が高い魚です。
ムロアジは、体が延長した紡錘形で棘の「ぜんご」が体側の後ろ4分の3を占めるほど長いのが特徴です。体側中央部の縦じまは赤褐色ですが、死後黄色に変色してしまいます。南日本から東シナ海にかけて生息しますが、鮮度が落ちやすいので漁獲後は干物や練り製品の材料にされてしまいます。
アジのエキス分が溶け込んだ塩汁に漬け込むクサヤになるアジとしても知られています。また、クサヤの原料になるクサヤモロというアジもいます。どちらも伊豆諸島名産として有名になっています。
アジがいいから「アジ」とついたのかな
アジの名前の由来ですが、味がいいからアジという説もありますが、群遊するので「集まる」「参加する」魚から魚偏に参と書いたとも言われています。
アジは水分が多いので、鮮度が落ちやすいとされています。生きのいいアジの見分け方は、目が盛り上がり、銀色の光沢があってうろこも整っていること、腹が引き締まっていかにも活き活きとしているものだということです。
文:ばばれんせい 絵:すなみゆか
都道府県 | 漁獲量 | 割合(%) | |
1 | 長崎県 | 53,564t | 46.6 |
2 | 島根県 | 13,498t | 11.8 |
3 | 宮崎県 | 7,894t | 6.9 |
4 | 愛媛県 | 5,514t | 4.8 |
5 | 鹿児島県 | 4,896t | 4.3 |
6 | 鳥取県 | 3,587t | 3.1 |
7 | 三重県 | 3,207t | 2.8 |
8 | 高知県 | 2,515t | 2.2 |
9 | 大分県 | 2,384t | 2.1 |
10 | 石川県 | 2,083t | 1.8 |
11 | 山口県 | 2,016t | 1.8 |
12 | 和歌山県 | 1,957t | 1.7 |
13 | 千葉県 | 1,343t | 1.2 |
14 | 新潟県 | 1,131t | 1 |
15 | 富山県 | 1,023t | 0.9 |
16 | 兵庫県 | 933t | 0.8 |
17 | 福岡県 | 912t | 0.8 |
18 | 京都府 | 763t | 0.7 |
19 | 静岡県 | 742t | 0.6 |
20 | 神奈川県 | 684t | 0.6 |
21 | 宮城県 | 681t | 0.6 |
22 | 愛知県 | 595t | 0.5 |
23 | 福井県 | 567t | 0.5 |
24 | 熊本県 | 407t | 0.4 |
25 | 佐賀県 | 333t | 0.3 |
26 | 秋田県 | 307t | 0.3 |
27 | 岩手県 | 272t | 0.2 |
28 | 北海道 | 231t | 0.2 |
29 | 徳島県 | 194t | 0.2 |
30 | 茨城県 | 177t | 0.2 |
31 | 青森県 | 134t | 0.1 |
32 | 山形県 | 101t | 0.1 |
33 | 香川県 | 77t | 0.1 |
34 | 福島県 | 65t | 0.1 |
出典:地域の入れ物 |
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