Blog食育交歓

21世紀構想研究会・第4回食育シンポジウム報告3

テーマ:減塩献立に取り組む学校給食現場 報告3

~その課題と普及・啓発の展開を探る~

小神野あや子先生(茨城県土浦市立神立小学校 栄養教諭)

香川明夫  続きまして減塩をどのように取り組んでいるか、学校給食現場からの報告をしていただきます。茨城県土浦市立神立小学校の小神野あや子先生、お願い致します。

土浦市学校給食センターは令和2年9月に市内二つのセンターを1カ所に集約し、幼稚園、小中学校、小中一貫校、県立学校、合わせて約1万1000食を委託調理により提供しています。それまでの2つのセンターは、限られた予算の中で給食提供がおこなわれ、全体的に給食の提供量が少なく、栄養量が満たされない日もあり、減塩への取組みも遅れておりました。

新しい大規模センターの開設と給食費の値上げが決定し、給食全般の見直しをおこなうにあたり、「第3次健康つちうら21」の中で、行動目標値として設定している薄味の習慣や、野菜料理を増やすことを中心に、栄養バランスが取れ、減塩に向けた学校給食を目指していくことにしました。

 

次のスライドにありますように目標値として、平成28年度の平均食塩摂取量2.8グラムから、学校給食摂取基準の目標値である2.0グラム未満を目指し、おいしい給食を提供することといたしました。

 

最初の取組みとして鰹節といりこで、だしをしっかり取るようにしました。味噌の量も見直し、11グラムから8グラムに段階的に減らしていきました。さらに、野菜の量を約2割増やしました。これにより、汁物の加水量が減り、野菜の旨味も加わり、減塩が進みました。学校では鰹節やいりこの風味が感じられ、とても好評です。食塩相当量は1.6グラムから1.1グラムまで減塩することができました。現在は1人あたりの水分量をさらに見直し、味噌の量を7グラムで提供しております。

 

次のスライドは、いりこと鰹節でだしを取っている様子です。さらに干し椎茸の量を1人0.3グラムから1グラムに増量し、その戻し汁も加えることにより、より旨味のあるだしがつくれるようになりました。

 

次に醤油やソースの見直しです。5年前までは、コロッケやしゅうまい、餃子などが提供されるときには、教室に卓上ソースや醤油が配布され、子どもたちは教室で自由に醤油やソースをかけて食べている状態でした。おかずが足りないときはごはんに醤油やソースを自由にかけていたという話も聞きました。まずは段階的に、卓上の醤油やソースからパックの醤油、ソースに変えました。現在では、基本何もつけずに食べるようにしています。

 

次に和え物の見直しです。旧センターでは教室で、担任や給食当番がボトルドレッシングで味付けをしていました。味が薄かったり濃かったりとばらつきがあり、児童生徒の食塩摂取量も正確に把握できませんでした。

新センターでは設備が充実し、手づくりのドレッシングで味付けができるようになりました。食塩相当量は、旧センターでは0.4から0.8グラムとばらつきがありましたが、センターで味付けするようになって、約0.4グラムになりました。また、鰹節やすりごま、にんにくやしょうがなどを加え、少しでも減塩に近づけるよう工夫しております。

 

次にシチュールウの変更です。クリームシチューは市販のシチューの素から、手づくりのホワイトルウに変更しました。今後はさらに操作性を良くするために、焙煎小麦粉を活用したメニューに変更したシチューづくりをおこなう予定です。こちらは0.3グラム減塩することができました。

 

減塩のために風味を加えるメニューの作成も試みています。味噌マヨネーズ焼きでは、味噌の量を減らし、マヨネーズの量を2.5グラムから8グラムと変更し、マヨネーズの風味を強くし、減塩することができました。

 

粉ふきいもでは塩を減らし、代わりに青のりを増やして、風味を出しました。また、カレー味の粉ふきいもにはガーリックパウダーを足して、さらに風味をつけています。

 

そのほかに,揚げ物や炒め物などにカレー粉をつかったり,生姜やにんにくを入れた手作りドレッシングでサラダをあえたり,スープにごま油を最後に入れて風味を加えすこしでも減塩できるように工夫しています。

1万1000食の大規模センターですので、つくりたては風味があっても、子どもたちが食べる頃には風味が飛んでしまうというのが課題です。

 

適温で食べることも減塩につながります。新センターになったことで、最新の二重保温保冷の食缶になりました。センターから学校到着時までの温度管理もできるようになり、あたたかいものはあたたかく、冷たいものは冷たく配送できるようになりました。それによって減塩してもおいしく食べることができるようになりました。

 

調理員との共通理解も大切です。減塩していることを伝え、調味料は全部入れずに、味を見てから入れるよう気を付けてくれるようになりました。これにより、だいぶ減塩が進みました。

 

食塩相当量の変化です。平成28年度平均で、食塩相当量2.8グラムから、令和4年2月は2.5グラムまで下がりました。しかし、目標の2.0グラム未満にはまだ届いておりませんので、今後の重要課題として取り組みたいと思っています。

本県は食塩摂取量が全国平均よりも多くなっています。そこで、県民全体で減塩に取り組むとして、毎月20日を「いばらき美味しおDay」としています。給食センターでも美味しおDayとして、4月からさらに減塩を意識したメニューを提供していく予定です。

大規模給食センターでの減塩は、給食費も含め、調理してから食べるまでの時間が長いため、和え物から水分が出てしまったり、香味野菜を使っても風味が飛んでしまったりと、とても難しいと実感しています。またコロッケやハンバーグなどの冷凍加工品を使用する頻度が高いので、それらの減塩の商品と給食費の兼ね合いで、なかなか減塩が進まないのが現状です。

食塩相当量は主食によっても大きく変わります。本市はごはんが1週間に3回、パンが週に1.5回、ソフトめんが週に0.5回程度で組み合わせています。バラエティに富んだ主食といえますが、反面、減塩の視点からすると、ごはんの日は2.0グラム未満にできても、パンやめんの日は主食に食塩が含まれているので、月の平均値がどうしても高くなってしまいます。献立の組み合わせ等で工夫はしていますが、正直難しいです。今後も試行錯誤を続けながら、食塩相当量2.0グラム未満を目指し、おいしい給食を提供していきたいと思っております。

報告4へつづく