Blog食育交歓

2017.11.16 Thu

若手栄養士の給食奮戦記(1)

 学校給食の充実と食育の推進に取り組んでいる若手栄養士の現場からの報告です。月刊誌「学校給食」のご高配による転載です。毎回、充実した内容になります、ご期待ください。

魚を好きになってもらいたい
髙塚未来(山口県岩国市立平田小学校・学校栄養職員)
「学校給食」2016年5月号に掲載

 魚と仲良しになれる授業

 給食で人気のあるメニューを聞くと,「カレーライス」や「わかめごはん」と子どもたちが答える。では,反対に苦手な給食のメニューは何だろうか。給食の食べ残しを見てみると,残っていることが多い食べ物がある。それは,「魚」だ。
 そこで,2年生の学級活動の時間に,「魚とお友だちになろう」をめあてに,食育の授業を行った。この授業を通して,魚が苦手な子どもは少しでも魚のことを好きになれるように,魚が好きな子はもっと好きになれるようにと授業を設定した。
 家庭によって差はあるが,魚を切り身の状態でしか見たことのない子どもが多い。家で魚を食べるよりも,ハンバーグやスパゲッティなどの洋食を食べる方が多い傾向にあり,魚には骨があって食べにくい,だから嫌いという子どもも多くいた。

 

①

導入で給食の献立写真を見せて、何の魚が使われているかを聞く

 

 どうしたら,魚を好きになってくれるだろうと考えたとき,栄養士として魚には体にいい栄養がたくさん入っていることを教えるのはもちろんのことだが,まず興味・関心を持ってもらう内容にしたい。そこで導入では,魚を使った給食の写真を見せて,身近な食事の中から魚を見つけることから始めた。「このお魚の料理,何のお魚が使われているかわかるかな? 給食の献立表にお魚の名前、載ってたよね。見た人は覚えているかな?」などと質問を投げ掛ける。
 すると,「サバー!」「サンマ!」といった声が一斉に聞こえてくる。「よくわかったね! すごいね!」と褒め,たとえ正解の答えではなくても,発表できてすごいこと,自分の意見を言えたことをきちんと褒めることを心掛けた。すると,ほかの子どもたちも,先生に褒めてもらいたいから頑張って手を挙げてみようかなと,いい雰囲気づくりが生まれる。

魚釣りゲームで魚と友達に
 今日の授業は魚の勉強をするよということを子どもたちに確認してもらい,いよいよ展開へと進んでいく。すぐに栄養の話をすると子どもたちも聞くばかりになってしまうため,退屈してしまう。興味を引き出すために,魚釣りゲームを展開に持ってきた。ただ,魚を釣って楽しかったねで終わってしまっては,レクリエーションというだけにとどまってしまうので,釣った魚と友達になって,クラスのみんなに紹介することを目的とした魚釣りゲームを行った。
普通の魚釣りゲームと違う点を説明し,班ごとにゲームで使う魚の写真カードと,釣り竿を配る。配る時も,声掛けに工夫が必要だ。「今からゲームに使う道具を配るので,班ごとに机をくっつけてください」とだけ言うと,どうしても友達との距離が縮まり,私語が増えてしまう。そこで「静かに待てている班から,ゲームで使う道具を配っていくよ。どこの班が一番静かに待てているかな?」と声掛けをした。すると,子どもたちは一番に配ってもらいたいために,進んで静かにしようとする。

②

    魚釣りゲームを楽しみながら魚の見た目や特徴を発見していく

 

 魚釣りゲームは,魚の名前と見た目をきちんと覚えてもらうことはもちろん,ほかの魚と自分の釣った魚の違いを見つけられる力を育てるために,設定した。初めてこの授業を行ったクラスでは,魚釣りに夢中になってしまい,私の意図している魚の特徴や,どうしてその魚を釣ったのかなどの発表につなげていくのに苦戦してしまった。
 そのため,時間内にここまでしましょうというのを明確にし,机間指導をする際に班ごとに声掛けを徹底した。ゲーム後は魚の見た目や特徴を発表するので,それにたどり着くまでのこのゲームはとても重要だ。児童は同じ魚を釣っていても,違う発見ができており,とても実りある発表になった。

 

③

魚のいいところとして「体をつくる(たんぱく質)」「あたまがよくなる(DHA)」「血液をサラサラにする(EPA)」と,3点に絞って説明する

 

 活動後は,いよいよ栄養の話を始める。魚のいいところを,大きく3つの栄養と働きに分け,なるべく簡単な言葉で伝えた。それまでの活動では,動いたり,書いたり,話し合ったりの活動を重視してきたが,次は聞く活動になる。
 最後の振り返りでは,今日の授業でわかったことや初めて知ったことを書いてもらい,発表してもらった。魚の栄養が体にいい働きになるのを初めて知った,という意見が多かったのでうれしかった。こうした授業を通して,食をより身近なものに感じてもらえたら,学校の栄養士としてこれ以上にうれしいことはない。