第4回は学校給食甲子園OGのあきこ先輩が選んだのは、福井県の越桐由紀子先生のアピールシートです。
福井県坂井市立磯部小学校
栄養教諭 越桐由紀子先生
好きな食べもの:白い炊きたてのごはん
休日の過ごし方:家でゆっくり過ごす
越桐先生の応募献立は、減塩を意識した「省塩(しょうえん)献立」ですね。アピールシートAは、減塩についてとても分かりやすく書いてあると思いました。「献立のねらいや工夫」について、心がけられたことを教えてください。(アピールシートをクリックすると大きくなります)
「献立のねらい」は、子どもたちに「何を伝えたいか」とか、「なぜ知らせたいか」を考えながら、献立作成をしています。
「献立の工夫」は、小学校高学年に伝えるイメージで書いています。子どもたちが、献立の工夫を聞きながら食べているということを想像して書きます。料理の味を感じることができるように書きたいと、工夫しています。
福井県の食文化を生かしながら、塩分控えめでたくさんとれる野菜を使用した献立で、減塩を進めることを実施しています。
本校に赴任当初に、一気に減塩を進めようと取り組んだのですが、校長先生や教頭先生から、「ちょっと味にパンチがない」とか「なんだか水っぽい気がする」と言われました。
なるほど~。減塩開始時の「あるあるの反応」かもしれませんね。
それで少し元に戻って、料理の塩味にメリハリをつけたり、酸味やうま味を効かせたりと、いろいろ工夫をして減塩を行いました。その結果、秋には校長先生、教頭先生や他の先生方もそして調理員さんも、「減塩しても、全然味が薄いように感じない」とみんなが口を揃えて言うようになりました。塩分測定器を使って汁ものの塩分濃度を測っているのですが、最初は1.0%程度だったのが、今では、0.8%未満になりました。
減塩の成果が食べた人の反応や数値に表れることで、越桐先生たちが日々努力されていることがよくわかりますね。取り組みをすることで、子どもたちの変化はありましたか。
子どもたちに「今日の給食の、〇〇の味は薄かった?」って聞いても、「いつも通りおいしかった」という返事しか返ってこないので、なかなか子どもたちの変化は分からない状況です。でも、その減塩した味が普通でおいしいと感じてくれることで、生涯にわたって減塩につながっていくのかなと思っています。
子どものころから、知らぬ間に減塩に慣れさせることは、素晴らしい取り組みですね。
ところで、越桐先生は複数回決勝大会に出場されていますが、何か工夫されていることはありますか。
大会要項をよく読むことです。そこに全てのことが書かれていると思います。
「学校給食摂取基準に基づいている」こと。「食育の生きた教材として活用できる」というところです。この2つは一番重要視しています。
また、前年度の長島美保子審査委員の審査講評を読むことで、自分にはここが不足していたと振り返ることができます。それから、過去の大会誌やHPに載っている、出場した施設の紹介ページも読んで参考にします。
大会ルールに合った学校給食の応募献立を、まず知ることが大切ですね。
その他にも、大事なことはありますか。
視覚から入ってくる情報も重要かと思うので、写真の見た目も大事にしています。
写真は、何枚撮るかわからないぐらいたくさん撮ります。場所を変え、バックを変え、時には時間を変えて、いろいろ工夫をします。試作も何回もします。家族に「それ飽きた」と言われるくらいに何度も試作をして、自分が食べてみたいと思えるような写真になるように撮っています。
越桐先生のこれらの努力のかいがあって、決勝大会に進まれることがよくわかりました。本当は、内緒にしておきたい決勝大会に出場するためのポイントを快く教えていただき、本当にありがとうございました。
「今日の給食、おいしかったよ」と子どもたちからの評価はあるけれども、一般的に評価される機会が少なく、自分のやっている仕事を振り返るためにも、学校給食甲子園大会に参加しているそうです。「毎日大変な仕事の中で、自分にちょっとしたご褒美じゃないですけども、やったという充実した気持ちがもてたり、残念だった時はまた来年頑張ろうと思ったりできるのがこの学校給食甲子園です。」と、話していました。
越桐先生から、学校給食甲子園大会への熱い思いをお聞きして感動しました。今度はこの記事を読んでいるあなたにも、ぜひご褒美を受け取ってもらいたいと思いました。
次回はかおる先輩が選んだ香川県高松市立香南学校給食共同調理場・栄養教諭 谷西真理子先生のアピールシートです。