entrysheet
長崎県 上対馬学校給食共同調理場 
栄養教諭 阿比留 智子先生
好きな食べ物:生まれ育った対馬の郷土料理(ろくべえ、いりやき等) 
休日の過ごし方:家事、買い物 親の介護など
応募献立:対馬ヤマネコ米のごはん、牛乳、森の財ものハンバーグ(ブルーベリーソースけ)ひじきと大根のサラダ、今里みその味噌汁、豆酘みかん

第18回は給食甲子園OGひろみ先輩が選んだ長崎県の阿比留智子先生のアピールシートです。

アピールポイントAでは、まず冒頭の結論(献立のねらい)が明確で、末尾にも再度結論(献立の意義や作成者の思い)が書かれており、読み手の印象に残る構成です。作成時に、気を付けたこと、工夫したことはありますか。(アピールシートをクリックすると大きくなります)

対馬島内の5名の栄養教諭との共同研究で、毎年11月の地場産物使用週間の食育の日に、全島で統一献立をしています。食育は、郷土愛ばかりでなく、SDGsから発信する環境教育やふるさと学習の視点からも展開できることを伝えたいという思いで作成しました。

年1回の統一献立「対馬(つしま)んうまい(しな)給食(きゅうしょく)」について、詳しく教えてください。

毎年4~5月から部会が始まり、献立作成、試作を行い、併せて指導資料も作ります。ロイロノートで作った資料を各学校の担当の先生や担任の先生に発信したり、Googleフォームで事後アンケートを集計したりして考察を行い、1年間の研究のまとめをするという流れで取り組んでいます。

ICTを上手く活用され、共同だから、全島上げて実施できますね。また、企業と栄養教諭との共同開発で生まれた「森の財(たから)ものハンバーグ」というネーミングは素敵です。

対馬市が取り組んでいるSDGsに「獣害(じゅうがい)から(じゅう)(ざい)へ」という合言葉があります。対馬では、イノシシやシカが増え過ぎて田畑や山が荒らされており、捕獲後食肉として食べたり、皮製品に活用したりする取組が行われています。その中で、ジビエ加工会社と協力し、ジビエ肉(イノシシ・シカ)と原材料の配合割合やアレルゲン等を考慮し、試作、試食を行い、開発しました。調理場の食数や能力によって、冷凍の既製品を使用したり、(「森の財(たから)ものハンバーグ」の)レシピを基に独自にアレンジしたりして手作りすることもできます。 また、この「森の財ものシリーズ」には、シカやイノシシの肉を使ったカレーもあります。

なるほど。行政や地元業者などと連携・協力し、11月の給食実施に焦点を合わせて取り組まれているのですね。獣害と獣財、一文字違うだけで受けるイメージが大きく変わります。
 さて、アピールポイントAの末尾では、「今後も、より正確な情報を入手し、自らが体験をすることで、更に地域に根ざした食育を展開していきたい。」と先生の熱い思いで結ばれています。このことについて、詳しく聞かせてください。

給食の食材や、料理ができるまでの過程を自分自身がしっかり理解したうえで、献立に取り入れることが大切だと思っています。そうすることで、調理指導もでき、食に関する指導にも自信をもって臨めます。共同研究をする中で、ジビエの加工処理体験をしたり、その様子をビデオ撮影したりします。生きていたものを頂いて、自分の命を繋いでいるという指導にも活かせるからです。他には、地場産物の「せんだんご」作りを取材したり、「ろくべえ」も自分で作れるようになってはじめて給食に出したりしています。さらに、ひじき狩りに行ったり、みそ作りの加工処理場に見学に行ったりして、自らの生の体験を話せることが強味なのかなと思っています。

地場産物を理解するのは、まずは栄養教諭自身からということですね。
 それでは次に、アピールポイントBについてお尋ねします。応募した献立を用いて食育を行った時の給食の時間の指導について、子どもたちの様子や声(感想)などをお聞かせください。

「森の財(たから)ものハンバーグ」って、どんなものなんだろうということをメインに中学校では指導しました。食欲も旺盛なので、よく食べてくれました。小学校では、イスズミにポイントを絞って指導しました。また、豆酘(つつ)みかんの産地でもあるので、学校周辺のみかん山にみかん狩りに行き、家でも学校でも美味しいみかんをふんだんに食べることで、地元のよさを再確認してもらえたと思います。

関連資料の「対馬んうまい品給食2024」は、たくさんの情報が載せられているにもかかわらず、見やすくて分かりやすいです。これも共同研究のグループで作られたのですか。

主にわたしが担当しましたが、今里みそができるまでの工程は、もう一人の担当の栄養教諭が取材したものを載せています。

この資料を見ると島のどこで何ができるのかも一目で分かり、アピールポイントA・Bを効果的に補足していると感じました。
最後になりますが、日頃の学校給食で、特に気を付けられていることはありますか。

給食の時間は、みんなが笑顔になる時間で、そのお手伝いをするのが、給食の献立だと思って、日々仕事をしています。

「子どもたちを笑顔にしたい。そして、給食でそのお手伝いをしたい。」という先生の心持ちが、心に染み入りました。インタビュー時も、常に笑顔を絶やされない先生の思いは、きっと子どもたちに伝わっていることでしょう。特に、地元のよさを理解するために、まずは、自分から行動を起こす(自分が体験する)というお言葉が印象的で、背中を押されたような気がしました。

次回はあきこ先輩が選んだ東京都新宿区立西戸山小学校 学校栄養職員 菅田望先生のアピールシートです。