あなたの誕生樹

あなたの誕生樹NO.272

啓翁桜

12月28日

 

 

 

1930(昭和5)年に福岡県久留米市の吉永啓太郎氏がシナオウトウ(支那桜桃)を台木にしてヒガンザクラを接ぎ木して作られたことから、吉永氏に敬意を表し、「啓翁桜(けいおうざくら)」あるいは「敬翁桜」と名付けられたといいます。

この桜は普通の桜と違い、株立ち育てられた枝を花が咲く前に切枝にして、温かい室内で切り花として楽しむ桜です。

桜は、秋に寒くなって落葉すると花芽は冬眠状態になって、一定の寒さの中で休眠打破され、温かくなるとともに花が開くというのが一般的です。

この啓翁桜もこのメカニズムをいわば人工的に管理して、一定時間低温にさらし、お湯をかけたり温室で温度管理をすることにより冬に桜の花を咲かせるというものです。

正月に花を楽しむためには産地としては九州より北国の方が都合が良く、今では山形県が最も啓翁桜の生産量が多いとのことです。

よくホテルのロビーなどで時季外れの桜の生け花を見ることがありますが、多くはこの啓翁桜ではないかと思います。なんとなく桜は切ったり折ったりするのは罪悪感を伴うものですが、この啓翁桜は生け花用に栽培されたものですからご安心ください。