あなたの誕生樹

あなたの誕生樹NO.322

ヤマザクラ

2月16日

 

2月16日の誕生樹がヤマザクラということに違和感をお持ちの人が多いのではないかと思います。ヤマザクラが咲くのは3月の下旬から4月の上旬で、2月中旬というのは早すぎるのではないかと。

桜をこよなく愛した詩人・西行が、『願はくは花の下にて春死なむその如月の望月のころ』という辞世の句を作ったのが文治6年2月16日(旧暦)と言われていて、新暦2月15日を俳句の世界では「西行忌」とされていることにちなんでいます。

今、日本の桜の約8割は明治時代から全国各地に植えられるようになった染井吉野ですが、それ以前は桜と言えばヤマザクラだったわけで、西行も古くから桜の名所だった奈良県・吉野に庵を設け、数多くの和歌を残していますので、この”花”(桜)はヤマザクラと思われます。

また江戸時代の本居宣長は「敷島の大和心を人問はば朝日ににほふ山桜花」と歌っているように、ヤマザクラは古くから日本人に愛された桜だと思います。

ヤマザクラは染井吉野ような同じクローンの桜ではなく、野生種なので色々な性質、例えば花の咲く時期や葉の色などを持った桜となるのですが、下千本、中千本、上千本そして奥千本と山の高低差を上手く生かした吉野山はまさに桜の名所ですね。

〇 仏には桜の花を奉れ我が後の人とぶらはば (西行)