あなたの誕生樹

あなたの誕生樹NO.300

ヤブツバキ

1月25日

 

日本に広く自生するヤブツバキは学名がCamellia japonicaが示すように、日本原産で日本を代表する花木の一つで、数多くの地方自治体の木・花に指定されています。温帯地域に広がる常緑の広葉樹林帯のことを照葉樹林と言いますが、ヤブツバキはその葉の表面の照りが強く、まさに照葉樹の代表的な樹です。花はその青々とした葉と対照的で深紅と言ってもいいくらいの情熱的ですね。深紅の花弁は5つありますが、黄色い雄蕊とともに下の方ではくっついていて筒状になっていますので、花全体として落下します。日本のバラとも呼ばれているヤブツバキは香りはほとんどなく、小説『椿姫』のヒロインは香り過敏症のためバラではなく、いつもツバキの花を身に着けていたことから椿姫と呼ばれていたそうです。

ツバキと言えば都はるみの「あんこ椿は恋の花」が有名ですね。この中の”あんこ”とはヤブツバキで有名な伊豆大島のあたりでは年上の女性のことを意味するらしいですから、年上の女性とのことをうたった歌なのでしょうか。

また、このツバキの実からとった油の椿油は、相撲力士の整髪に使われていて、独特の香りがしますが、食用油としても販売されています。

ところで、このツバキの葉を利用する『椿餅』は、日本最古のもち菓子という説があり、興味深いです。これは源氏物語の若菜の巻に公家たちがお酒や椿餅(つばいもち)、梨や蜜柑などを食べてはしゃいでいるという記述があることからとのことです。確かに、今も和菓子に椿餅があるが、成程と頷けますね。

1月下旬から3月下旬まで伊豆大島では椿まつりが開催されることから、誕生樹にしました。

 

「冬椿仰ぎて伊豆の寺にあり」(深見けんニ)