あなたの誕生樹

あなたの誕生樹NO.104

ヤシ

7月13日

 

民俗学の柳田国男は1898年の夏、伊良子岬で南の島から椰子の実が漂着するのを発見し、「日本文化の起源が東南アジアにある」という学説「海上の道」を温めたといわれています。その話を友人である島崎藤村に話したところ、藤村は有名な歌『椰子の実』をつくり、童謡作曲家の大中寅二が曲をつけ、昭和11(1936)年7月13日に国民歌謡として全国に放送されました。「名も知らぬ遠き島より流れ寄る椰子の実ひとつ」と東海林太郎が歌ったとのことです。

渥美半島の先端の太平洋を望む伊良子岬の地元の人たちは、ヤシの実を東南アジアに近い石垣島から流して漂着の状況を確認する活動を30年以上も続けているということです。

伊良子岬は潮の流れだけではなく、渡り鳥の経路にもなっているようです。「鷹一つ見つけてうれし 伊良子崎」は松尾芭蕉の有名な俳句ですが、鷹の仲間のサシバが渡る姿を春と秋に見られるということです。

 

文:椋 周二