あなたの誕生樹

あなたの誕生樹NO.357

ミツマタ

3月23日

 

枝先が三つに分かれることからミツマタ(三椏、三又)と名づけられたわけです。中国南部、ヒマラヤ地域の原産で、ジンチョウゲ科の落葉低木です。3月中下旬頃に、30ぐらいの小花が集まって毬のような形の花をつけます。

樹皮はコウゾウ、ガンピと並んで紙の原料になりますが、中でもミツマタは繊維が強く、紙幣の原料としても使われます。

日本には古くから入って来ていて、『万葉集』では三枝(さきくさ)といわれたとのことです。柿本人麻呂の歌で“春さればまずさきくさの幸くあれば後にも逢はむな恋ひそ吾妹”というのがありますが、このさきくさはミツマタのことです。この歌のお蔭かどうかわかりませんが「幸草」とも呼ばれ、また春を告げるが如く咲くことから「先草」とも呼ばれているようです。

日本国内では中国地方や四国地方に分布していて、私の生まれ育った島根県石見地方も特産地の一つです。そういえば大きな桶のような蒸器で、束ねた木の枝を蒸していたのを記憶していますが、これはミツマタで紙幣にする紙を作るための皮剥ぎのためだったのですね。

神奈川県大和市の常泉寺は「花のお寺」で有名で、特にベニバナミツマタの花が咲く3月下旬には、多くの人が訪れます。