あなたの誕生樹

あなたの誕生樹NO.239

ツバキ「熊谷」

11月25日

 

「日本一の剛の者」と誉れも高い熊谷直実が平家の若武者・平敦盛を討ち取ったのは、寿永3(1184)年の一の谷の合戦でした。これは平家物語や謡曲にも題材とされた有名な史実ですが、植物の世界にも取り入れられ、ラン科の「アツモリソウ(敦盛草)」と「クマガイソウ(熊谷草)」に名をとどめています。弓の名手の直実が騎乗時に長い布を膨らませて流れ矢を防いだ母衣(ほろ)姿を連想して命名されのでしょうか。

ツバキの園芸種に「熊谷」というのがあります。一重の大輪で、直実の母衣を連想させます。雄しべも一般的なツバキの筒状ではなく、梅蕊と呼ばれる開いた形です。

一の谷の合戦ではわが子と同じぐらいの16歳の敦盛の首をはねざるを得なかった武士の業に無常を感じ、建久3(1192)年11月25日に髪を下し、のちに法然上人のもとに出家します。

この椿は太い幹で大きな花をつけながら同時に哀情を漂わせるように下向きに花をつけます。