NO.196
ダツラ
10月13日
ダツラはナス科の常緑低木で、アサガオのような大きな花を下向きに夕方からつけます。「エンゼル・トランペット(Angel trumpet)」、「朝鮮アサガオ」や「曼荼羅華」といった別名があります。
花が開くと芳香がして香水にも使われることからエンゼルトランペットとなったと思います。江戸時代後期に我が国に入ってきた帰化植物ということから朝鮮アサガオと言われています。また、仏法の世界では天上に芳香を放ち白く咲く花という意味で曼荼羅華とも言われています。
しかし、アルカロイドという有毒物質があって、特に実には多く含まれます。毒も使いようで、華岡青洲はこのダツラなどから作った麻酔薬・通仙散を使い、文化元(1804)年10月13日、世界で始めての全身麻酔下で乳癌摘出手術に成功しました。この通仙散開発のために母親と妻がまさに実験台となって貢献するのですが、このことをテーマにした有吉佐和子の『花岡青洲の妻』は映画、テレビドラマ、舞台で有名です。
世界で初めての全身麻酔手術に成功した10月13日は、日本麻酔科学会が「麻酔の日」にしています。私も、全身麻酔手術はこれまで4回、経験していますが、その先駆けが花岡青洲のダツラにあったというのも考え深いものがあります。