あなたの誕生樹

あなたの誕生樹NO.57

ソテツ

5月27日

 

「島育ち」で“赤いソテツの実も熟れる頃、花も年頃・・・”という歌詞で始まる「島育ち」は、「バタヤン」の名前で愛された歌手の田端義夫の他に中曽根美紀、そして朝丘雪路が歌って、奄美大島を有名にした歌謡曲です。

ソテツは、大きな赤い実をたくさんつけますが、植物学的には、イチョウと同じく、雌雄異株で雄株から飛んできた花粉が雌株に到着し、その後自力で動くことのできる精子ができて受精をするという特徴を持っています。イチョウの精子発見者は平瀬作五郎氏で、ソテツの精子発見者は池野誠一郎氏なのですが、1896年に両社の論文が発表されて、世界的にも大発見という評価だったようです。

お二人とも東大植物学分野の研究者で、平瀬氏はどちらかというと学歴がなく木登りが得意というタイプ、池野氏は語学堪能のインテリタイプで平瀬氏の論文作成を手伝ったということです。池野氏に学士院恩賜賞の話が来た時、平瀬氏も一緒の受賞でないと辞退すると対応したことから、同時に受賞したとのことです。

ソテツ(蘇鉄)という名前は、この木が弱って枯れかけると、鉄釘を幹に刺すと蘇ることからということです。

 

文:椋 周二