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シダレザクラ
4月3日
シダレザクラといえば多くの人が京都円山公園の“祇園枝垂れ”を思い浮かべるのではないでしょうか。与謝野晶子の「清水へ祇園をよぎる桜月夜こよひ会う人みな美しき」という歌によるところも大きいのかもしれません。シダレザクラはソメイヨシノより少し遅く咲きますが、4月の上旬、円山公園の“祇園枝垂れ”はライトアップされ、美しき人たちがその周りを行き交うスポットとなっています。
このシダレザクラは二代目で、初代は昭和22年に枯死したという。しかし、初代のシダレザクラが衰えるのを心配していた桜守で有名な桜守二代目・佐野藤右衛門氏が昭和2年に先代(初代桜守)の集めたシダレザクラの実を実生で育てていた苗木を京都市に寄贈し、昭和24年に移植したとのことです。祖父が集めた桜の実を父親が撒き、子供の三代目の桜守が見守っているわけですね。しかも、父親が種を播いたのは子供が生まれた日であったとのこと、まさに誕生樹中の誕生樹ですね。しかし、今ある木も色々衰えていることから、次代の枝垂桜も既に育てられているとのことです。
それから、日本三大桜の一つである福島県三春町の「滝桜」は樹齢1000年といわれている天然記念物のベニシダレザクラですが、樹勢も未だ衰えず幽玄な世界を醸しだしてくれています。シダレザクラは、広い意味では桜で枝が柔らかくなって枝垂れる桜全般のことをいいますが、狭い意味では江戸彼岸の枝垂れ系をさすそうで、“祇園枝垂れ”は一重白彼岸枝垂桜ということです。
文:椋 周二