あなたの誕生樹

あなたの誕生樹NO.345

クヌギ

3月11日

 

ブナ科コナラ属のクヌギは東北・関東以西に分布する落葉高木で、コナラやアカシデとともに日本の雑木林あるいは里山を構成する樹木です。ギザギザのある葉や穂状の雄花から風媒で実をつけることは同じブナ科のカキ(柿)に似ています。

クヌギの語源については、「国木(くにき)」からという説や「食之木(くいのき)」からという説もあるようです。漢字では櫟、椚、橡など色々あります。このクヌギは日本の固有種かどうかについては、はっきりしていないようですが、古くから日本人の生活に色々な関わりもあることから、日本の固有種と考えたいと思います。

材は硬く建築材料などに使われていますし、昔からから薪炭材やシイタケ栽培の榾木(ホダギ)としても使われています。薪炭材や榾木として使うにはあまり太い材でなくてもいいので、萌芽更新といって幹の根元近くで伐採して切り株を作り、そこから萌芽を成長させ10年ぐらいで更新させるという方式で、雑木林はサステイナブルな管理がされていたわけです。

樹皮の厚い幹からは樹液が出ることがよくあり、カブトムシやクワガタムシなどが集まり、子供にも親しまれる樹木です。また、実は比較的大きく丸い形をしていて、これぞドングリ(団栗)の代表的な感じです。縄文時代の遺跡からもドングリが出てきているようで、こうしたドングリの実をすりつぶして晒して食用にしていたのではないでしょうか。

このほかにも生薬にも使われたり、薄茶色のツルバミ(橡)染の染料に使われていましたから、昔から日本人の生活と深い関係がある樹木です。

名字にこの木の名前が入っている国木田独歩は、1901年3月11日、雑木林の広がる武蔵野の自然を表現した『武蔵野』を刊行したことから、この日の誕生樹はクヌギとしました。