NO.65
クチナシ
6月4日
クチナシはアカネ科の常緑低木で、学名を Gardenia jasuminoides とあるようにジャスミンに似て香りがいい樹木です。春のジンチョウゲ(沈丁花)、秋のキンモクセイ(金木犀)と並んで日本三大香木の一つと言われています。
渡哲也の「クチナシの花」に歌詞の中に“クチナシの雨の別れ・・・”とあるように、梅雨時の花です。正岡子規の俳句に「薄月夜 花くちなしの 匂いけり」というのがありますが、確かに夜道でクチナシの香りに出会うと優しい気分になれる気がします。キャサリン・ヘップバーン主演の『旅情』では、上手くクチナシを使っていましたが、アメリカでは男性が女性にクチナシの花を贈る習慣があることが背景にあったのではないかと思います。
秋から冬になると独特の形をした朱紅色の実になりますが、熟しても実が開かないことから「口無し」→クチナシと名付けられたといいます。碁や将棋は黙って打つもの、そして周りの人も口を出してはいけないという意味をこめて、碁盤・将棋盤の脚はクチナシの形をしているとのことです。
また、クチナシは黄色を出す染料や栗キントンやタクアンなどの着色剤としても使われるという意外な面も持つのが面白いです。