NO.119
キリ
7月28日
初夏のこの頃、七十二候では「桐始めて花を結ぶ」です。しかし、温暖化の影響か、花が咲くのはもっと早く、4~5月頃ではないでしょうか。
キリは非常に成長が早く、切ってもすぐに芽を出して大きくなることからキリという名前が付いたという説もあります。
落葉する高木で、なかなか花自体を見るのも難しいのですが、淡い紫色の円錐花序の花は確かに品のいい感じがします。
昔は、女の子が生まれるとキリを植え、嫁入りの際にその木で箪笥を作ったという風習があったようです。国内では最も軽い木材(比重0.3位)で、湿気を通しにくく、燃えにくい材質であることからキリ箪笥は最高品質の箪笥という評価でしょうか。これ以外にも、下駄や箏の材料にもなります。
キリは伝統的に菊に次いで神聖なものとして見られており、家紋や紋章に使われています。五七(花序が左から5・7・3と並ぶ)のキリの紋章は政権担当者を意味しているようです。確かに、豊臣家の家紋も五七のキリですね。
文:椋 周二