NO.96
キハダ
7月5日
キハダはミカン科の落葉高木ですが、日本各地に自生していて、内皮が鮮やかな黄色をしていることから「黄色い肌」→キハダと呼ばれています。この樹皮は黄色で染料として使われるほか、生薬として利用されていて、奈良県の胃腸薬の陀羅尼助(だらにすけ)や長野県の百草丸(ひゃくそうがん)の原料にもなっています。そういう薬効があることを動物たちも知っているのか、富士山麓でシカにもかじられるということでそれを防御するためのフェンスがしてあるのを見たことがあります。
江戸時代の初期の頃の1654(承応3)年7月5日に我が国に隠元禅師が渡来され、京都の宇治に萬福寺を建立し、黄檗宗(おうばくしゆう)を広めました。これは、隠元禅師が中国の黄檗宗の本山・萬福寺にいたことからとのことで、その本山にこのキハダ(中国名で黄檗)の木が生い茂っていたことから宗派の名前が付けられました。
ところで、この隠元禅師は博学であったらしく、色々な文物を我が国に導入されました。その筆頭は禅師の名前からとったインゲン豆ですが、その他にも西瓜、蓮根、孟宗竹、茄子、そして煎茶の飲み方、禅寺によくある木魚ならぬ魚板や精進料理と現在の生活にもおなじみのものが沢山あります。
文:椋 周二