NO.353
ヒガンザクラ
3月19日
開花時期が比較的早く、彼岸頃に咲くことからヒガンザクラ(彼岸桜)と名付けられました。また、江戸で多く栽培されていたことから、「エドヒガン」とも呼ばれ、ソメイヨシノの片方の親であると言われています。
この種類の桜は長寿のものが多く、全国各地に残る桜の古木の多くはこのヒガンザクラです。日本でいちばんの樹齢と幹の太さを誇る山梨県武川村の「山高神代桜」(1800年)、伊勢湾台風の被害で枯れかけて作家・宇野千代さんが蘇生に情熱を傾けた岐阜県根尾村の「薄墨桜」(1500年)、今なお元気な樹勢で幽玄さを醸しだす福島県三春町の「滝桜」(1000年)の日本三大桜はすべてこのヒガンザクラ(滝桜はエドヒガン系の枝垂桜)です。
花の色は一般的に淡紅(ピンク)色で、ヤマザクラ、オオシマザクラなどと並んで日本の代表的な野生種です。しかし、ヤマザクラやオオシマザクラほど一般的ではありません。その理由は成長の遅さにあるのではないかと思います。実生から育てて開花まで数十年かかることもあるようで、鑑賞する人間の方が待っておれないからではないかと思います。
先日、岐阜県庁前の公園に「淡墨桜」の二世が植樹されたというニュースがありました。これは30年ぐらい前に、有名な桜守の佐野藤右衛門さんが実生から育てたものを重機を使って移植したとのことです。