あなたの誕生樹

あなたの誕生樹NO.121

エゾマツ

7月30日

 

幸田文の著書に「木」というのがあります。3人の子供にそれぞれ木を与えたというほど木が好きだった父・露伴の血筋を引いた娘の文章が味わい深い。“樹木に逢い、樹木から感動をもらいたい”と北海道から鹿児島まで取材。その最初はエゾマツの「倒木更新」に出会います。倒木更新は倒れた老木の上に着床発芽して若木が育つという形の世代交代です。露伴は1947年7月30日に没するが、木好きは倒木更新のように娘・文に、さらには孫娘・青木玉に引き継がれていきます。

東京文京区小石川の諏訪坂にある幸田露伴邸の前の道路には大きなムクノキがあります。車道部分がここではムクノキを避けるように曲がっています。これは、この木を切るとタタリがあるという言い伝えがあったからとのことです。ひょっとしてそのタタリは木好きの露伴によるのかも知れません。

 

文:椋 周二