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台湾で第1回学校給食コンテストが開催されます

子どもの笑顔のために頑張る

「日本全国学校給食甲子園」から学んだこと

 

文|陳儒瑋(大享食育協会)

日本の民間組織がどのように学校の給食運動に尽力してきたかを理解するため、我々は2017年10月から半年の間、3度東京に赴き、日本全国学校給食甲子園の創設者、馬場錬成理事長のもとを訪れ、現場で第12回大会の様子を実際に視察した。

食育と料理の実作を重視する レシピのデザイン力が勝負を分ける

馬場理事長は、学生の体の健康と食育に関わる学校給食が重要視されていないと感じており、そのため、新聞記者という立場から退いた後、全国的な学校給食大会を開催したいという意欲が湧いたのだ、とインタビューに答えた。このコンテストによって学校給食の重要性を明らかにし、より多くの人に栄養士、調理員、そして生産者の苦労を知ってもらいたいとの願いがある。

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「もちろん、このコンテストを通じて、料理人が得意な料理を出して競争し、成長するため互いに切磋琢磨して学ぶようになればと期待しています。」彼は笑って言った。

事務局長の峯島朋子氏は、学校給食甲子園にエントリーするレシピは、実際に学校で提供される1日の食事でなければならない、と説明してくれた。エントリーシートには、熱量、蛋白質、脂質、ビタミンB2、食物繊維と塩分等の栄養成分分析をありのまま詳細に記載しなければならない。

「栄養成分表は、重要な部分です」彼女はこの点を特に強調した。

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12の強豪校が東京で食を語る 第1回食育特別賞の獲得に向けた争い

2017年12月2日土曜日の午後、我々一行は女子栄養大学駒込キャンパスを訪問し、決勝に進出した12チームが注意を集中させて栄養教育課程のプレゼンテーションを準備しているのを見た。彼らは、第1回「応募献立食育部門特別賞」の獲得を争うのだ。

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鹿児島県垂水市から来た栄養士、平野朋子さんは、直接現場で一匹の冷凍ブリを見せて、聴衆を驚かせた。埼玉県代表の栄養士、小林洋介さんは、腹話術を使って彼の手元にある人形と対話し、そのユニークさが称賛を受けた。手作りの大きなポスター、絵を描いたカード、地図などが、語りの形式で一つ一つ現れていき、日本語のわからない私でさえも目が離せなかった。これで、日本全国の地理と食材に関する講義を聴いたことになる。

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最後に、福井県代表としてコンテストに臨んだ栄養士の越桐由紀子さんが、このコンテストでグランプリを獲得した。彼女は、今回デザインしたレシピは調味料と牛乳を除いてすべて福井県の地元の食材を使用しており、学生に自分のふるさとの特色をよりよく理解してほしいと願っている、と語った。

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ヤマブキご飯、ハンバーグ、野菜サラダ、それぞれの得意分野で勝ち進む  誰が学校給食の王座を勝ち取るか 

翌日午前、イベントは最後の料理実作を迎えた。各チームは1時間以内に6人分の食事を完成させなければならない。

我々は、コンテストが始まる前の合間を見計らって、コンテストに参加する2組の選手にインタビューを行った。彼らがなぜ学校の栄養士という職業に心血を注いでいるのか、そして現在の心境について語ってもらった。

前の日に腹話術のパフォーマンスで会場全体を沸かせた栄養士の小林洋介さんは、小さい頃から両親、特に母親の影響を受けて料理に対する興味が湧き、そのため、大きくなってから自然と栄養士の業界に進むことにした。これまでに学校給食甲子園に4回エントリーし、これで東京に来るのは2回目だという。かなり嬉しい様子だ。奈良から来た栄養士、辰巳明子さんの場合、栄養士になりたいという動機付けは、子どもによりよくもっと栄養のある昼食を食べさせたいという願いだったという。コンテストに参加するのはこれが初めてとのことで、当然ながらとても緊張しているようだ。

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考えられないことに、この1分間にも満たない2つのインタビューだったが、なんと私たちは「大当たり」を引かせてもらったようだ。 

「スタート!」教室のあちこちから様々な音がしてきた。両手を洗う水の音、食材を扱う包丁の音、鍋や食器を準備する力強い音、急いで歩く足音。

料理の衛生と安全を確保するために、栄養士と調理員は、食材を処理する手順に従って、白、青、そして赤のエプロンを交互に交換して着けている。このプロセスは相当に厳しい。腕章を付け、採点表を手にそれぞれの料理台を忙しく行き来する審査員の姿が、このコンテストに緊張した雰囲気をさらに増し加えている。

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時間が1分、1秒と過ぎていくうちに、部屋に料理のいい匂いが充満してきた。

終了を告げるブザーの音が響き渡って、60分間とはこんなに短いものかと驚かされた。場外でコンテストを観戦していた私も、コンテストに参加していたかのごとく急にホッとして、ある種の疲労感がこみ上げてくる。

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試食タイム。審査員が皿を持って、少しずつ、そして注意深く味わっているのが見える。

「審査にあたっては多くのポイントがありますが、最も重要なのは、子どもたちの目線で見ることです。彩りが美しいかどうかは大切です」とは、文部科学省食育課学校給食調査官の齋藤るみ氏の言である。「他にも、地元の食材を使用しているか、調理段階の安全や衛生が行き届いているか、そして子どもたちがこの料理を喜んで食べるかどうか、これらが採点項目です。」

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今回のコンテストの特別審査員であり、主な協賛企業の久原本家グループ本社代表取締役社長でもある河邉哲司氏は、子どもに一目見て美味しそうと思わせ、手に取って食べてみたいと思わせられるかが勝負の重要な鍵だと述べた。ただ、彼も少し残念そうに、給食を1食分全部食べてから評価する方法こそが一番いい方法であろうが、実際そうするのは無理な話で、とても残念だ、と話していた。

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どのチームの給食が美味しかったのだろうか。東京・日野市の子ども審査員、関絢士郎くんにインタビューしてみた。「それは秘密だよ。だけど、いつもの学校の給食に比べると、もちろんだんぜん美味しいよ!」と、はにかんだ様子で答えた。

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まさに偶然というべきか、我々がコンテスト前にインタビューした埼玉県と奈良県の代表がそれぞれ優勝と準優勝を獲得した。台湾からやって来た我々が幸運を呼び寄せたかのようだ。

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単なる食べ物にとどまらない学校給食

第12回日本全国学校給食甲子園は、24時間という短い時間の後、無事にその幕を閉じた。その中に実際に身を置いてみて深く感じ取ったのは、一人一人の栄養士と調理員による、自らの職業に対して抱く熱意、そしてそのために払う犠牲である。彼らは、地元の食材を活用して美味しい料理を作ることで、地元に対する気持ちを伝え、飲食を通じて子どもたちにふるさとの文化を理解してもらおうと努力している。

今年10月に、我々は台湾史上初の第1回学校給食コンテストを開催する。学校の栄養士と調理員の専門技術に、より多くの注目が集まることを期待している。また、全国的なコンテストというイベントを通じて、現職の方々の相互交流が促進されること、そして食育がただ単なる授業内容にとどまらず、毎日の学校における食の中にそれが真に体現されることを願ってやまない。

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イベントの開催準備に着手するこの段階において、私は絶えず自分に問いかけている。学校給食は、美味しさ、安全、衛生について考慮する他に、どのような価値を有しているべきだろうか。このとき、私がいつも思い出すのは、愛媛県から来た栄養士、武方美由紀さんが決勝前に大きな声で述べた、選手宣誓の言葉である。

「宣誓。私たち選手一同は、確かな調理技術と完璧な衛生管理、そしてチームとしての連携の良さを基に、それぞれの地域の特性ある食材を生かした調理をし、子どもたちのおいしい笑顔のためにベストを尽くすことを誓います」